飲むたびに、色が変わる。紫陽花ブレンド、誕生までの裏側。
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紫陽花の色が、テーマになった。
紫陽花は不思議な花です。
同じ品種であっても、育つ土壌によって青くなったり、
紫になったり、赤みを帯びたりする。
花そのものが変わるわけではないのに、環境によって見せる表情が変わります。
その話を知ったとき、「これをコーヒーで表現できたら面白いかもしれない」
と思いました。
コーヒーもまた、環境によって表情を変えます。
豆は同じでも、抽出温度が変われば香りの立ち方が変わる。
淹れたてと少し冷めた状態では、感じるフレーバーも変わる。
時には、最初には気づかなかった個性が後から現れることもあります。
紫陽花が土壌によって色を変えるように、
コーヒーも温度という環境によって違う表情を見せる。
そんな一杯を作れたら面白い。
そこから、このブレンドの試作は始まりました。
最初に目指していたのは、もっと綺麗な変化だった。
当初の構成は、グァテマラ、エルサルバドル、
そしてブラジル・インフューズド日本酒の3種類。
イメージしていたのは、苦味から始まり、
徐々に酸味へと移り変わるブレンドでした。
飲み進めるごとに表情が変わる。
それでいて全体としては綺麗にまとまっている。
そんな設計です。
実際、試作したブレンドも悪くありませんでした。
華やかさもあり、バランスも良い。完成品として成立していたと思います。
ただ、何度も飲み返しているうちに気になることがありました。
せっかくインフューズド日本酒の豆を使っているのに、
温度が落ちてきたときに現れる日本酒らしい個性が、
まだ十分に伝わっていない気がしたのです。
もちろん感じることはできる。
でも、「日本酒を使った意味」がもう少し伝わってもいいのではないか。
そんな感覚が残りました。
そして気づけば、「もっと引き出せないだろうか」と考え始めていました。
発酵系同士を合わせたら、どうなるんだろう。
そこで頭に浮かんだのが、中国の豆でした。
理由はシンプルです。
インフューズド日本酒の豆も発酵。
中国豆も発酵。それぞれ異なる個性を持ちながら、どちらも発酵由来の魅力を持っています。
普通に考えれば、少し難しい組み合わせかもしれません。
どちらも個性が強いからです。
下手をすると、お互いの良さを消し合ってしまう。
でも、その時ふと思ったのです。
「発酵系同士を合わせたら、どうなるんだろう」
性格なのかもしれませんが、
そういう疑問が浮かぶと試さずにはいられません。
そこでエルサルバドルを外し、中国豆に置き換えて試作してみました。
すると、想像していた以上に複雑な香りのレイヤーが現れました。
まず感じるのは、芳醇な発酵の香りと華やかなフローラルの香り。
温度が落ち着いてくると、日本酒を思わせる上品な香りが姿を現し、
さらに温度によってはウイスキーのような印象も見えてくる。
最後には柑橘のニュアンスも現れる。
どれかひとつが主役ではなく、複数の個性が共存している。
そして、その見え方が温度によって変わる。
当初思い描いていたブレンドとは違う方向でしたが、
「紫陽花」というテーマに近づいている感覚がありました。
一番苦労したのは、日本酒を消さないことだった。
中国豆の発酵香は想像以上に力強く、
試作初期は温度が落ちてから現れるはずの日本酒らしい香りが
見えなくなってしまいました。
せっかくインフューズド日本酒の豆を使っているのに、
日本酒らしさが感じられない。
それでは、このブレンドにする意味がありません。
中国豆の個性は活かしたい。
でも、日本酒の個性も埋もれさせたくない。
淹れたては発酵香とフローラル。
そのあとに日本酒。さらに温度によってウイスキーや柑橘へ。
そんな香味の移り変わりを実現するために、
配合を何度も調整しました。
少し配合を変えるだけで印象は大きく変わる。
日本酒が前に出すぎても違う。
中国豆が強すぎても違う。
どちらかを主役にするのではなく、
それぞれの個性が共存するポイントを探し続けました。
今振り返ると、少し欲張りな設計だったと思います。
でも、その欲張りさこそが、
このブレンドらしさになった気もしています。
AJISAI BLEND
飲むたびに、色が変わる。5袋限定の数量限定ブレンド。
発酵香、フローラル、日本酒、ウイスキー、柑橘。
温度によって表情を変える、紫陽花をテーマにした一杯。